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香川真司 9年前

ハードワークに女神が微笑む。ドルト相手に引き分けの“昇格組”。香川も脱帽の粘り強さ

text by 本田千尋 photo by Getty Images

「ダルムシュタットは尋常じゃない幸運を手にした」

ハードワークに女神が微笑む。ドルト相手に引き分けの“昇格組”。香川も脱帽の粘り強さ
香川真司【写真:Getty Images】

 場内では両チームのボール支配率が発表される。ドルトムント:ダルムシュタット=71%:29%。ダルムシュタットはBVBに飲み込まれようとしていた。

 71分。ハイ・テンポで目の前をパスが行き交う。最後はヤヌザイのラストパスに、オーバメヤンが抜け出して、加速した。2-1。圧倒的なポゼッションを考えれば、このまま試合が終わってもおかしくはなかった。

 しかし、90分――。

 センターサークル付近からのFK、ゴール前にボールを送る。ローゼンタルがヘッドでエリア内に落とす。ユングヴィアスがボレーで打とうとする。空振り。ギンターと接触する。ボールがこぼれる。絶妙の位置、バウンドの高さだった。ダルムシュタットの主将スルは、すかさず蹴り込んだ。2-2。

 昇格したばかりの挑戦者を、香川は「ハードワークしていた、最後まで諦めなかった」と評した。ニーマイヤーは「クオリティ以上のメンタリティを」というモットーで戦ったと明かす。

 シュスターは「幸運にも、我々は終了前に同点弾の権利を掴んだ」と振り返った。フンメルスは「今夜ダルムシュタットは尋常じゃない幸運を手にした」と言う。

 圧倒的な劣勢を覚悟しながら、どこまでもハードワークを惜しまない姿勢に、揺さぶられたのだろうか。

 ボールは最後の最後に、絶妙の場所に落とされた。

 ブンデスリーガの第7節で、フットボールの女神が微笑んだのは、ドルトムントではなく、ダルムシュタットだった。

【了】

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