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香川真司 9年前

ハードワークに女神が微笑む。ドルト相手に引き分けの“昇格組”。香川も脱帽の粘り強さ

text by 本田千尋 photo by Getty Images

6試合で19ゴール。無得点では終わらないドルトムント

 香川は「両サイドが高いですから、簡単な取られ方をしたらカウンターを食らいやすい」と言う。

 先制に成功したダルムシュタットは、硬い甲羅のように、30分頃には6-3-1で構えた。香川は「ボールを持たされている感じはずっとしていた」と振り返る。

 ボールを持ったとしても、出しどころが見つからない。BVBをフラストレーションの中へと追い込んだ。苛立ちを募らせる。ダルムシュタットの筋書き通りに、前半は終わる。

 後半に入ると、ドルトムントはさらにテンポを上げてきた。トゥヘルの指示=1枚、2枚、3枚、もっとゴール前に入っていけ。でないと怖さはない。もっとスピードアップするんだ。シュスターは「我々は本当にフリーでボールを持てなかった。息を継ぐ暇もなかったんだ」と振り返る。

 ドルトムントが加速する。耐えられない。63分。香川から、右サイドの深くを走るギンターへロングボールが送られる。ダイレクトでギンターが折り返して、オーバメヤンに決められる。1-1。

 ベンチ前でトゥヘルが咆哮する。BVBの指揮官は「我々に対してただ守るのは不可能だ」と圧倒的な姿勢を示した。相手が引こうが引くまいが、これまでBVBはブンデスリーガ6試合で19ゴールを叩き込んできた。無得点で終えた試合はないのだ。

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