圧倒的な劣勢を覚悟も…
最後の最後に、フットボールの女神が微笑んだ。2015年9月27日のブンデスリーガ第7節、ボルシア・ドルトムントは、ホームにSVダルムシュタット98を迎えた。
昇格したばかりのダルムシュタットの、ドルトムントに対するアプローチはシンプルなものだった。監督ディルク・シュスターは「我々が試合開始直後から直面するであろう局面は明らかだった」と語る。
ハイ・テンポでプレーするクオリティの高い個が、特に攻撃面においてチームとして迫ってくる。目の前には、香川/ムヒタリヤン/ロイス/オーバメヤンの“ファンタスティック4”――。圧倒的な劣勢を覚悟した。
同時にシュスターは、ドルトムントが「フィニッシュのために深い位置でスペースを必要とするチーム」であると分析する。
コンパクトに保つ。パスコースを切る。BVBを研究したダルムシュタットは序盤から5-4-1で構えた。それでもファンタスティック4は迫ってくる。
7分、香川のパスを受けたムヒタリヤンが、ミドルシュートを打ってくる。ゴールの左に外れる。10分、オーバメヤンの右からの折り返しに、ゴール前でロイスがダイレクトでボレーを撃ってくる。クロスバーの上に外れる。
序盤を凌ぐ。するとチャンスが巡って来る。16分、ペナルティエリアの手前でギュンドアンから香川へのパスをカットする。ボールを左サイドへ、カウンターを組み立てる。左に流れるゴンドルフにグラウンダーでパスが送られる。クロスを、ヘラーがダイレクトで突き刺した。0-1。