近い将来、日本の脅威となりうるタイ
才能ある若手の抜擢がすぐに結果として表れたのは、やはり近年のタイプレミアリーグの隆盛に起因するのは間違いない。待遇や注目度の劇的な向上によって選手たちにはプロ意識が芽生え始め、日本人を含む多くのハイレベルな外国人選手や監督が参戦するようになったことで自ずと力は磨かれてきた。
実際、昨年BECテロ・サーサナで岩政大樹(現ファジアーノ岡山)とディフェンスラインを組んだタナブーン・ケーサーラット、ピーラパット・ノーチャイヤー、ナルバディン・ウィーラワッノードム(現ブリーラム・ユナイテッド)の若手3選手は、現地では「岩政の影響で急成長し、代表の戦力となった」という見方が少なからず存在する。
来年3月に行われるリオデジャネイロ五輪予選で、日本はタイと同組になった。実績からしてもグループ内ではサウジアラビアと北朝鮮に目が行くのは当然だろうが、今のタイを古いイメージで捉えるのはまずい。実際、同大会の予選でタイは北朝鮮とすでに戦っており、ホーム開催だったとはいえタイが優勢に試合を運んでのスコアレスドローだった。
U-22タイ代表は、今年の東南アジア競技大会を圧倒的な強さで制したU-23がベースとなる。世代に一歳の差があるため主力の数名は抜けることになるが、日本にとっても簡単な相手とは言えないだろう。タイ国内では同予選を「東南アジアレベルを越えられたかどうかの最終試験」と見る向きがあり、最大目標として「48年ぶりの五輪出場」が掲げられている。
近年のリーグの盛り上がりが、ここに来て一気に代表強化に昇華され始めたタイのサッカー。すでにACLではブリーラム・ユナイテッドがJリーグ勢と互角に近い戦いをするようになっているが、近い将来、代表レベルでもタイが日本の脅威となる可能性は十分にあるだろう。
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