若い才能の台頭でパスサッカーが確立
タイ国内では「ジーコ」の愛称で呼ばれるキャティサックの監督就任によって、なぜ急激にタイ代表は強化されたのか。一言で言えば、キャティサック監督がこれまで代表を支えてきた選手たちに代えて若く才能ある選手たちを次々に招集し、思い切ってメンバーを一新したことが奏功した。
長くタイ代表の中盤を支えてきたダッサコーン・トーンラーウ(ムアントン・ユナイテッド)や、ドイツW杯のアジア予選で日本からゴールを奪ったティラテープ・ウィノータイ(ポリス・ユナイテッド)らの常連組が代表を去り、代わりにタイプレミアリーグで育ってきた若い選手たちが主力として定着。
ともにJリーグクラブも興味を示していると言われる、「タイのメッシ」ことチャナーティップ・ソンクラシーン(BECテロ・サーサナ)やサーラット・ユーイェン(ムアントン・ユナイテッド)らを中心に、細かいパスをつなぎながら安定したポゼッションから攻めるスタイルが確立した。
今季のACL(AFCチャンピオンズリーグ)でガンバ大阪を相手にセットプレーからスーパーゴールを2発決めるなど「悪魔の左足」と恐れられるティーラートン・ブンマータン(ブリーラム・ユナイテッド)や、昨年はスペイン1部でプレーしたエースのティーラシン・デンダー(ムアントン・ユナイテッド)ら絶対的な存在と若手の融合が結果を生んだ。
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