酒井宏樹が感じたドルトムントの自身
もっとも、各自が布陣を厳守し、持ち場を離れないということではない。ポジションは流動的で、香川は後方でビルドアップに関与することがあれば、ゴール前でフィニッシャーとしての役割を果たすこともある。
そこでトゥヘルや香川がよく口にするのが、「リズム」という言葉だ。トゥヘルは、クロップが構築したプレッシング・スタイルに、ボール・ポゼッションを付け加えた。流動的なポジション・チェンジとパス交換のために、今季のドルトムントは「リズム」を重要視する。
「リズム」が良ければ、攻撃時の陣形は整い、ボールロストの際にも素早くプレッシングに移行することができる。そしてクロップ時代の爆発的なカウンターを忘れたわけではない。ポゼッションにこだわり過ぎることもなく、機を見て香川がダイレクトにパスを送るなど、オーバメヤンやロイスが瞬時に相手のゴールを陥れる。
抽象的な感覚になるが、「リズム」が整っているかいないか=ドルトムントのサッカーが上手くいっているかいないか、を知る1つの目安と言えるだろう。
またメンタル面が昨季に比べて改善されている。逆転勝利した9月12日のハノーファー戦では、ドルトムントについて酒井宏樹が「選手たちに自信もある」と感じている。
トゥヘルがムヒタリヤンと対話を繰り返して、「自信」を植え付けることに成功したことは最たる例だが、連勝に内容が伴うことでBVBは「自信」を重ねていった。ハノーファー戦で先制を許しても、香川は「焦りはなかった」と言う。その17分後にPKをオーバメヤンが決めて、「また自信と勢いが付いた」。
酒井は「自信があるから高い位置を取れるところもある」とも言う。昨季に苦しんだ引いた相手を崩し切るために、3トップに加えて、今季の両SBは高い位置を取る。また酒井は「攻撃に厚みがあるのは間違いない」と話した。