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セリエA 9年前

ミハイロビッチが求める「ミランらしさ」。進歩の兆し見せるも…いまだ足りないこととは

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

安定化を図った守備。しかし目立つ個人のミス

 一方守備だが、こちらも戦術的には形になっている。

 DFラインを高く押し上げ、全体をコンパクトに保ちつつ、前方から積極的にプレスを掛けていく。昨シーズンのサンプドリアではこの組織力が上位快走の原動力となったが、ミランでもコンセプトは一緒だ。

 ただ、システムは前任地での4-2-3-1と違って4-3-1-2。これだとサイドが手薄になるので、インサイドMFが飛び出してプレスを掛けたり、トップ下がスライドしてカバーに入ったりなどという連係が必要になる。

 開幕の2戦ではそれが機能していなかった。フィオレンティーナには、プレスの薄い逆サイドにボールを回されたのち縦一本でDFラインの裏を突かれるという形にはめられる。エンポリ戦では相手の素早いショートパスの前に中盤のサポートが後手に回り、前半は完全に相手に振り回されていた。

 ただダービー、そしてパレルモ戦ではその部分が落ち着いてきた。精力的にプレスをかけ、同時に後方も連動し後方のスペースを埋めていく。こうして相手の展開を遅らせ、ゴール前に侵入される前にボールを刈り取る。こうした動きが出来てきているので、ピンチの数も減る。昨季まではミスのオンパレードだったクリスティアン・サパタが安定してプレー出来ているのは、決して偶然ではないだろう。

 ただ戦術通りには動けても、選手が望まれるクオリティを発揮するかどうかはまた別の話だ。復調を果たしたマッティア・デ・シリオや、鳴り物入りで移籍してきた20歳のアレッシオ・ロマニョーリは、不注意から危険なミスを侵している。現にここまでの失点は、今のところすべて個人レベルでのミスだ。

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