選手交代の代償となる岡崎
結果的にオフサイドだったが、元々チャンスが少ないレスターだけに、ああいった場面を一度で仕留めなくては、レギュラー争いは厳しくなっていくはずだ。
特にここ3試合は、チームのセットアップも岡崎に味方していない。元来イタリア人指揮官がチームに求めているのは、堅守を軸にした試合運びだ。引いて守ってから試合を作るというものだが、現時点ではこれは明らかに機能していない。
そのため、毎試合先制を許してしまう追う展開に陥って、後半になるとようやくエンジンがかかり始め、高い位置からプレスもするようになる。そして“押せ押せどんどん”で波状攻撃を仕掛けて、ゴールに迫るやり方が現在のチームには合っているようだ。
しかしようやくチャンスが増え始めるこの時間帯になると、ピッチ上に岡崎の姿はなくなっている。試合の流れを変えようとするラニエリ監督が、交代の最初や2番目のカードを切っていて、その代償となるのが岡崎だからだ。
それでも、現在の岡崎は驚くほど冷静に自分の状況を捉えている。取材をしている記者の一部が逆に心配するほどだが、プレミア初挑戦のオールドルーキーは自分の置かれた環境を見回しながら、どのようにして這い上がっていくかをじっくりと思案しているのである。
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