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text by 編集部 photo by editorial staff

肌で感じた欧州と日本の違い

――世界大会での経験も積み、小野選手はフェイエノールト、稲本選手はアーセナルへの移籍がありました。おふたりにとって欧州移籍はターニングポイントになりましたか?

小野 ターニングポイントというより……自分でも海外に出たいと思っていたのかよく憶えていなくて。移籍に対して強い思いがあったのかどうかわからないんですけれども、ただ、やっぱり海外に出てみてよかったなという部分はたくさんあります。それと同時に、その反対に日本のすごさもあらためてよく見えましたから、いま振り返るといい経験ができたと思っています。

――日本サッカーと欧州サッカーのちがう部分というと?

小野 球際ですとか、「このボールを奪ってやる!」と本当に決意したときの強さ。あとは日本人にないメンタルの強さ。そこは決定的に違う印象です。正直、技術的には、ぼくらを含めて日本人はそんなに負けていないと思いますよ。ただそれが、大舞台になったときのプレッシャーのなかで発揮できるかというと……。「止めて蹴る」という技術は、外国人選手のほうがしっかりしていると感じます。

――基礎技術や体幹でしょうか。

小野 身体能力のちがいは大きいですね。日本人はそうとうなハンデがあるなと思いました。でも、日本人は日本人で、頭の良さであったり、順応性の良さや速さであったり、いろいろなところでその違いをカバーできていますからね。

――稲本選手は高校のときにJリーガーをどんどんふっ飛ばしていたくらいなので、海外でもあまり当たり負けしなかったのでは?

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小野選手は2001年に浦和レッズからオランダのフェイエノールトに移籍。その才能は輝きを放ち、ボランチの位置でスターティングメンバーとして定着した【写真:編集部】

稲本 そうですね。強い人もいましたけれども、こちらから獲りに行くディフェンスの部分では、当たり方やタイミングにはじょじょに慣れていきました。でも攻撃になったときに、相手のプレッシャーがすごく速くて厳しい。そのなかでボールをしっかりと止めて蹴ることができる選手は、トップリーグになると日本より海外のほうが多いんじゃないかなとは、行ったときに感じましたね。日本人はノープレッシャーの状況でならできると思うけれど、密集のなかでの30cm、20cmのパスのボールの出しどころ、ボールを止める位置の使い分けは、環境のせいなのか、欧州のほうが巧さはあったと思います。特にアーセナルの選手たちはレベルが高かった。

――プレッシャーが強くて、時間もスペースもなくガチガチと当たり合っているなかで出来て当たり前という環境での差ですか?

稲本 そうですね。技の使いどころというのかな。とっさの瞬間的な判断の基準であったり、ボールを止める位置がうまかったりするんです。たとえば、ボールを止められても、止めるべきでない位置で止めてしまってその結果ボールを奪われることもありますよね。そのときの判断の速さやパスのスピード、そこで必要なフィジカルは日本とはちがってうまかった。ぼくの場合はいきなりアーセナルに行ったので、特にそのちがいを感じました(笑)。とにかく彼らは速いですし、よく動きますよ。そのうえで球際はめちゃくちゃ強い。その判断の速さとフィジカルの強さは日本でやっていても、経験しづらい部分なんじゃないかなと思います。

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