奇跡の逆転ゴールを生んだ“ファイターのオーラ”
奇跡の余韻がまだ残る16日のACL準々決勝第2レグ。守備力で勝るオ・ジェソクに先発を譲った米倉は後半20分から、FWリンスとともに攻撃を活性化させる役割を担ってピッチに投入された。
状況は1対1。敵地で行われた第1レグはスコアレスドローに終わっている。アウェイゴールの関係で、ガンバは韓国チャンピオンの全北現代に勝たなければ準決勝に進めない。
後半31分に倉田秋のミドル弾でガンバが勝ち越すも、同43分に全北現代が同点に追いつく白熱の展開。その直後から、長谷川健太監督は米倉に中盤の位置でプレーするように指示している。
そして、4分間が表示されたアディショナルタイムも、3分に達しようとしたときだった。MF遠藤保仁の縦パスを受けたDF金正也が、振り向きざまにスルーパスを送る。
あうんの呼吸で反応したのは米倉。オフサイドにならないように斜めにラインを取り、直後に相手ゴール前へ舵を切る。追走してくる相手DFのプレッシャーに体勢を崩し、最後は倒れながらも左足でボールをヒット。奇跡の逆転ゴールを叩き込み、ホームの万博競技場を埋めたサポーターを狂喜乱舞させた。
「攻めるしかなかったので、最後は気持ちで押し込みました」
普段はとてもシャイで、声も小さくなりがちのイケメンが、ひとたびピッチに立てばファイターのオーラを身にまとう。予想もしなかったターニングポイントを経てからまだ2年半。スピードとスタミナ、そして得点感覚をもその体に秘めた遅咲きのサイドバックが、未知数の可能性を開花させていく。
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