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メディアはJリーグの審判を正しく批評できているか?

9月7日に発売した『フットボール批評issue07』では、審判批評に定評のある石井紘人氏がたびたび議論が沸き起こるJリーグの審判問題に一石を投じている。はたして「誤審」を創り出しているのは誰なのか? 一部抜粋して掲載する。

text by 石井紘人 photo by Mutsuko Haruki

審判のミスの要因はポジショニングの悪さにある

メディアはJリーグの審判を正しく批評できているか?
今季のJリーグでは審判問題が度々話題になるが、メディアがファンをミスリードしていないだろうか?【写真:Mutsuko Haruki】

 今季は例年以上に審判問題が物議を醸している。「(1stステージの)開幕節での誤審が大きなインパクトを与えた」(日本サッカー協会審判委員長・上川徹氏)ことが要因として挙げられる。また、メディアが生み出してしまった虚像の独り歩き、つまり「誤審」として扱われてしまった判定もある。フットボール批評では、心象ではなく、Laws of the game(ルール)を元に、今季の問題視された判定を振り返り、審判問題について考察していく。

J1・1st 第1節 清水エスパルス×鹿島アントラーズ

 清水エスパルスが1-0でリードした状況で迎えた69分。鹿島アントラーズの遠藤康が同点ゴールを決めたが、ゴールラインを完全に割っておらず、ノーゴールと判定すべきだった。

 さらに82分には、1点を追う鹿島アントラーズの金崎夢生のシュートを、犬飼智也がバレーボールの回転レシーブのようなハンドでブロック。PKかと思われたが、佐藤隆治主審は、ノーファウルとジャッジした。

 上川氏は、ハンドについて「誤審だった」と認めている。誤審が起きた原因は、「シュートの瞬間だけを見るならば、ポジショニングは悪くない。が、この後に起こることを考えると、ワンテンポ変えたタイミングで、グッと中央に入っていかなければいけない」と分析する。また、JFAトップアシスタントレフェリーインストラクターの廣嶋禎数氏は「副審の角度からも、真横過ぎて、肩なのか、腕なのか見えなかった」と弁明した。(中略)

J1・1st 第3節 ヴィッセル神戸×FC東京

 FC東京リードで迎えた40分。ヴィッセル神戸の安田理大のアーリークロスを、渡辺千真がトラップし、ペナルティエリアに進入。GK権田修一を交わしたところで倒れると、吉田寿光主審はPKと判定。確かに、権田の手がかかったように見えたが、スローで見ると手はまったくかかっておらず、渡邊のシミュレーションだった。

 上川氏は誤審だったことを認め、「主審のポジションに問題があった。ステップを止めることなく、パスが出た瞬間に寄っていって、PAの外側から監視できていれば、しっかりと見極められた」と指導したという。

 このように、1stステージの第3節までに多くの誤審があった。ミスが生じた原因は、ポジショニングの悪さ。そして、それは今季の他の誤審にも当てはまる。特に、吉田主審や西村雄一主審など経験のある審判員にも、ポジショニングのミスが見られたことは問題である。経験のある審判員が、ポジショニングのミスをするというのは、“気の緩み”と捉えることも出来る。人間がミスをするのは当然でもあるが、減らすことは出来る。メディアが審判員のポジショニングを監視し、常に緊張感を持たせることで、改善される判定もあるのではないだろうか。

 とは言え、批判のための批判では意味がない。日本のメディアの審判批判の中には、無知や無理解が生み出すものも多い。その最たる例が、第12節ガンバ大阪×川崎フロンターレ戦後に巻き起こった審判批判である。(全文は『フットボール批評07』をご覧ください)

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