フランス代表においても重要な選手に
そして、代表でのデシャン監督の存在も大きい。PSGと同様、中盤にソリッドな3人のMFを置くシステムを好むデシャン監督の戦略において、攻守の切替えを担うのがマテュイディであり、その後の攻撃展開に勢いをつける重要な役割を与えられている。
代表での彼のプレーで印象的なのは、2012年10月のW杯予選の対スペイン戦だ。敵地のマドリードで戦ったこの一戦、前半の25分に得点を挙げたスペインは後半には力をコントロールしながら“クルーズ”していた。
しかしその後半戦、ひときわギアを上げて馬車馬のようにピッチを走り回っていたのがマテュイディだった。彼のエネルギッシュなプレーは、チームメイトの戦気をも盛り上げた。バックラインから相手ゴールのゴールライン付近まで、マテュイディの姿はピッチ上のあらゆるエリアを駆け巡った。
そうして諦めずにチーム一丸となってゴールを追い求めた結果、アディショナルタイムにジルーの得点が生まれ、フランスは貴重な敵地でのドローという結果を引き出したのだが、デシャン監督が試合後の会見でマテュイディを称賛したのは当然といえる傑出したパフォーマンスだった。
現在のPSGでもアンカー役のモッタ、起点のパスを出せるパッサー、ベラッティ、そして駆動系のマテュイディが形成する中盤の三角形はチームの心臓部と言っていい。
1試合平均のパスの数はモッタ、ベラッティの100本超に比べてマテュイディは60本程度と差があるが、その分動きのエリアが格段に広い。