トップ下が主役にも黒子にもならない歪な布陣
試合が進むに連れて本田のチーム内での影響力が弱まっていくと、ミランは歪な布陣でプレーし始める。
ミハイロビッチ監督は4-3-1-2のフォーメーションを敷いているが、同指揮官のトップ下に求める役割は多様だ。時には積極的にドリブルやパスで攻撃の指揮者となることを求めるが、時には自陣深くまで下がり中盤の守備に大きく貢献することを求める。しかし、この日のミランは本田が前線に鎮座しているものの、攻撃の中心はボナベントゥーラとMFユライ・クツカの攻め上がりだった。
FWカルロス・バッカとFWルイス・アドリアーノの2トップに加えて、2人のインサイドハーフが積極的に攻め上がる。本田もカバーに回るわけではなく、前線でチャンスを伺っていた。結果、後方で守備に備えるのはファンタジスタタイプのモントリーボだけとなる。MFフレディ・グアリンが豪快にミドルシュートを決めたミランの失点シーンは、まさに中盤の守備放棄からゴール前のスペースを突かれた瞬間だった。
今まで本田が黒子役になり守備に貢献したもののイタリアメディアから「10番」であることを求められ、攻撃面での物足りなさから酷評された試合は多かった。しかしながら、ダービーでは本田は主役と黒子どちらの役割を果たすことができなかった。試合後、イタリアメディア『ミランニュース.it』は「監督から与えられたチャンスを無駄にした」とチーム内最低評価を下している。
【次ページ】ミラニスタが希望を抱いた帰ってきた悪童