千載一遇の晴れ舞台をふいにした本田
「背番号10番? どこにいたんだ?」
ミラノダービーが終了した時、ミラニスタ(ミランファン)からそんな声が聞こえてきそうだった。日本代表FW本田圭佑にとって、初めてのダービーでの先発出場となった同試合。しかし、自らの力を証明する千載一遇の“晴れ舞台”となるはずだった一戦は残酷にも背番号「10番」の無力さを際立たせるだけに終わっている。
試合数日前までは本田はベンチ予想だった。しかし、シニシャ・ミハイロビッチ監督は調子を取り戻した主将リッカルド・モントリーボをアンカーに据えることを決断。その影響から同じく好調を維持しているMFジャコモ・ボナベントゥーラを左インサイドハーフに置き、結果トップ下の役割は本田に回ってきた。
しかし、ダービーの舞台で本田が攻撃のタクトを振るうことはなかった。シュートはわずかに2本、パスが同選手を経由した数は23回と、その数はモントリーボとボナベントゥーラのおよそ半分だった。
序盤こそミランの攻撃は本田を経由して組み立てられる意図がみられたが、途中から明確に左インサイドハーフのボナベントゥーラの行動範囲が拡大。サイドから中央に自由に動き回り、運動量溢れるドリブルからミランの攻撃を指揮していった。
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