ハードワークへの意識とチーム内の競争原理が覚醒
順調な軌跡を描いていても些細なことからリズムが狂い、エアポケットに陥ってしまうのがサッカーの怖さでもある。リーグ最多の16個のタイトルを獲得しながら、2013年シーズン以降は無冠が続いているアントラーズにおいては、停滞することはもはや許されなかった。
アントラーズの一員になると同時に伝統を受け継ぎ、未来へ託す役割を背負っているからこそ、昌子は自分たちのふがいなさを素直に認める。
「強い鹿島が戻ってきたと周りの人は思うかもしれませんけど、強い鹿島というのは僕たちの大先輩、レジェンドの方々が築いた時代。いまいる29人は何も成し得ていないし、言うたら強い鹿島を壊してしまったのは僕たちとなる。常勝軍団とも呼ばれなくってきていますし、せっかく先輩方が築いてくれた鹿島という伝統あるクラブを、僕たちが復活させなければ意味がないと思っています」
スライディングタックル解禁が、ハードワークへの意識とチーム内の競争原理を覚醒させた。何よりも指揮官の交代劇が、選手たちの心に危機感と自立する意識を芽生えさせた。
もともと地力のあるアントラーズのなかで、これらの要素が相乗効果を生み出した結果が破竹の6連勝となる。いわば必然に導かれた復活への序曲。
選手たちの心身が充実しているいま現在の状態を考えれば、セカンドステージを熱く彩る快進撃は決して一過性のものではないはずだ。
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