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Jリーグ 9年前

破竹の6連勝。「V字回復」の要因は練習にあり。石井新監督の下、鹿島が取り戻した“鹿島イズム”

text by 藤江直人 photo by Getty Images

日常茶飯事、伝統的ともなっていた鹿島の練習風景

 おそらくは、リーグ戦と平行してACLを戦う過密日程を考慮していたのだろう。しかし、ややもすると見逃してしまいがちな小さな変化も、積もり重なれば取り返しのつかない事態を招く。

 スライディングタックルが禁止されたということは、日々の練習から「激しさ」が失われることを意味する。練習でできないことを、真剣勝負の舞台でやれと言われてもそう簡単には実践できない。

 J1でも屈指のハードワークで相手と対峙している松本山雅FCの反町康治監督は、『フットボールサミット第31回 雷鳥は頂を目指す』のインタビュー中でこう語っている。

「けがを恐れたら練習なんてできなくなる。けがをしたら、それまでの選手なんだよ。選手同士がぶつかって転んでも、俺は練習を中断したことは一度もない。トレーナーも余程のことがない限り、ピッチに入れない。倒れても助けてくれないとなると、人間って自然と立ち上がるものなんだよ。倒れたから助けますでは選手も甘えちゃう。その意味では、たくましさが生まれてきたよね」

 かつてはアントラーズも紅白戦などで激しく削り合い、それが昂じて罵り合いや取っ組み合いに至る光景が日常茶飯事だった。伝統といってもいいかもしれない。

 史上初のシーズン三冠を達成した2000年当時。第二次黄金期を迎えていたアントラーズに移籍してきたある選手が、目を丸くしながらこう語っていたことを思い出す。

「チームそのものがファミリーだけど、それだけじゃない。練習中のたとえばミニゲームでも、他のチームならばけがをしないようにどこか遠慮がちにするけど、ここでは常に激しくプレーする。そうしないと、アントラーズでは生き残っていけないんですね」

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