大量得点に繋がった状況の見極めとイメージの共有
もう1つはサイドからのクロスにこだわるのではなく、リターンから中での崩しが多くなったことだ。テヘランでの非公開練習でクロス練習が重点的に行われ、主にサイドハーフとSBを生かしたクロスにタイミング良く飛び込んで合わせる形を入念にチェックしたという。
しかし、前半はサイドを起点にしながら、そこから中を突く形が多く、香川の先制点もその形から生まれている。
長友佑都が前方のライン際に開いた原口にボールを付けると、そのまま外側を追い越す。そこにズバイル・アミリが付いてきたことで、中にスペースが生じたところを原口がカットインし、さらに中の選手が食い付いて来た裏の香川にパスを通したことで、香川の鮮やかなミドルシュートに結び付いたのだ。
左SBの長友は「相手もサイドを警戒していたり、ケアしていたり、サイドハーフの選手もSBにしっかり付いてきていた」と状況を説明する。
「あそこで上がることによって幅を持たせて、その間をうまく突けていたんじゃないかと思うので、いい崩しができていたのはたくさんあったと思います」
後半12分の4得点目も本田圭佑が右サイドで長谷部からボールを受けると相手の守備が引き付けられ、中でフリーになった香川にパスを通したところから山口が鮮やかに飛び出し、岡崎慎司のゴールをアシストした。
終盤には原口を右サイドバックに移し、サイドに人をかけて崩す形から得点を加えよういうハリルホジッチ監督の意図が見られたが、ピッチ上で選手たちが状況を見極め、攻撃のイメージを共有したからこそ大量ゴールが生まれたのだ。
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