巻き返しに失敗。自力突破は不可能に
0-1のまま、試合終了の笛が鳴った。ブーイングが響く。アイスランド人たちが騒いで、スタジアムがぐらぐら揺れる。既にオランダ人たちは帰り始めていた。
試合後のプレスルームで、ヘンドリクセン氏がまくし立てた。
「これが、オレたちが3位にいる理由さ」
氏の言う「これ」とは、こんな不甲斐ないゲームをやってしまうことが「オレたちが3位にいる理由」、といったところだろうか。
確かに「旧世代」の衰えは隠せない。スナイデルのミドルに、かつてのパンチはなかった。デパイら「新世代」は育っている。しかしマルティンス・インディの退場に見られるように、成熟し切ってはいない。新監督ブリントは、アイスランド戦のターニングポイントを“33分の退場劇”とした。
「馬鹿げたことだ」
つまり「旧世代」と「新世代」の間に、中軸がいない。それが今のオランダ代表なのである。
そして何よりアイスランド戦のオランダ代表には、フットボールにおける重要な要素=運がなかった。新体制の初陣で、新主将は前半に負傷で退いた。
――今日の試合をどう思う?
「ドラマだよ、ドラマだ。ロッベンが負傷交代、インディが退場、そしてあのPK。まさにドラマだ。こんなドラマは、望んでいないんだがね」
ヘンドリクセン氏の静かな叫びが、重圧の掛かるプレスルームに響いた。
6日、オランダは敵地でトルコに0-3で敗れた。「重要な2連戦」を2連敗で終えて、グループAの4位に後退する。自力で本大会出場を決めることは不可能になった。
「オランイェ・リローデッド」。巻き返しに失敗した。後はない。
【了】