“勝者”はシティ。「過剰」ではない補強
プレミアリーグ勢の中で、今夏の移籍市場に最高額を投じたのはマンチェスター・シティ。世界屈指の“金満クラブ”は、7月に欧州サッカー連盟(UEFA)のフィナンシャル・フェア・プレー(FFP)規則違反に対する処分が解除されたばかりだ。総額約1億6000万ポンド(300億円弱)もの補強には、アーセナルのアーセン・ベンゲル監督をはじめ、FFP規則は「あってないようなものだ」と嘆く向きある。
但し、その補強が内容的にもプレミア最高であることは誰もが認めるところだろう。最終ラインでは、無失点での開幕4戦4勝という結果からして、要となるバンサン・コンパニが昨季の不振から立ち直った感がある。
そこに、それぞれ若さと衰えが不安のエリアカン・マンガラとマルティン・デミチェリに代わるCBコンビの相棒として、27歳と脂の乗っているニコラス・オタメンディがバレンシアから加わった。
アストンビラから攻守両用のファビアン・デルフを中盤の持ち駒に加え、前線にはリバプールとボルフスブルクで昨季最大の武器となっていた、ラヒム・スターリングとケビン・デ・ブルイネを手に入れている。
5500万ポンド(100億円強)でのデ・ブルイネ獲得には「強欲」との声もある。一足先にスターリングも加わった前線2列目は、元々プレミア随一のプレーメイカーと評判のダビド・シルバがおり、サミル・ナスリが控えに回るほどのレベルにあったからだ。だが、貪欲なまでの前線強化も、攻撃志向のマニュエル・ペジェグリーニ率いる集団がチャンピオンズリーグ(CL)でも優勝争いに挑む意気込みの表れと理解すれば「過剰」ではない。
今季の第一目標はプレミア王座奪回だろうが、欧州との二足のわらじを履いて国内でのゴールを目指す戦力が十二分に揃った。