「あまり考えずに、来たボールをしっかりと打つだけ」
アフガニスタンはカンボジアより多少、前がかりになる傾向があるということで、彼が臨機応変に前線のスペースに侵入するチャンスは増えそうだ。指揮官の指示を受け、緻密に1つ1つのプレーのディテールを突き詰め、巡ってきた決定機を確実にモノにする…。それが今の香川真司に求められる最重要テーマだ。
カンボジア戦の後半43分、武藤嘉紀(マインツ)からのプレゼントパスを、ド・フリーの状況で相手GKに当ててしまうという失態を演じた今の彼には、目に見えるリカバリーが何よりも大切なのだ。
今回の決定的シュートミスは、日本のみならず世界中に衝撃を与えた。日本のサッカーファンには「柳沢敦(鹿島コーチ)のQBK(2006年ドイツW杯・クロアチア戦で柳沢が加地亮の絶妙の右クロスをアウトで合わせて外した場面)を超えるミス」と揶揄され、イングランドの「テレグラフ」には「爆笑もののミス」と特集されるに至った。
今季開幕から快進撃を見せるボルシア・ドルトムントで攻撃陣のタクトを振るう彼だからこそ、1つのシュート失敗がここまで大きな話題になるのだ。香川も自分の置かれた状況を再認識したのではないだろうか。
「次はしっかり決められるように準備してやれればいいと思います。ゴールの枠に飛ばすこと。あまり考えずに、来たボールをしっかりと打つだけだと思ってるんで、それをやっていきたい」と本人も無心になることの大切さを痛感したという。
あのミスについて香川は「自分が慎重に行き過ぎて固くなった。それはあってはいけないミスだと思います」とメンタル的な重圧があったことを明かしたが、日本代表でプレーするたびに、彼はそういう状況に陥っている。
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