確かにバルサはすべてを勝ち取ったが…
これまでのシーズンと同様、レアル・マドリーとバルセロナはすべてのメジャータイトルを争うことになり、ほぼすべての大会で直接対決が命運を握ることになるだろう。昨季に三冠を達成したバルサは、まるでそびえ立つ壁のようだが、マドリーは対抗可能と見ているようだ。
確かにバルサはすべてを勝ち取ったが、ペップ・グアルディオラが率いていた頃のような他を圧倒する強さを感じられないのも事実。現在のバルサには確実に欠点もあり、マドリーの付け入る隙もある。例えば、彼らの中盤と最終ラインの間に広がっているスペースがそうだ。
ベニテスはプレシーズン、前線からのプレッシングや中盤と最終ラインの間隔など、何よりも守備組織の構築にプライオリティーを置いている。アンチェロッティ時代に失われつつあった守備の規律が再び確立されれば、バルセロナが空けるスペースを生かして、致死的なカウンターで点を決めることも可能なはずだ。バルセロナの弱点としてもう一つ挙げられるのは、リオネル・メッシの“気まぐれ”である。マドリー幹部の中には「今季のメッシはプレーを望んでいるのだろうか?」と発言した者もいるが、コパ・アメリカを決勝まで戦った彼が、昨季のパフォーマンスを維持できるかは未知数である。
以前のように怠惰なプレーを見せたり、再びルイス・エンリケとの間に問題を抱えたりすることにもマドリーは期待を寄せている。
バルセロナの弱みは、ピッチ上だけに存在するわけではない。忘れてはいけないのが、現首脳陣に裁判沙汰が絶えないこと。特に大きな騒動となっているのが、実際は1億ユーロ以上の獲得費用がかかったとされるネイマール移籍オペレーション。先に行われた会長選で再選したジョゼップ・マリア・バルトメウだが、嫌疑がかけられるこの件で有罪判決を下されれば、会長職を辞する必要性も生じる。メディアがこの裁判を報じる度、バルセロナは揺さぶりをかけられるのだ。(バルサ番記者によるバルサ評、フォーメーション予想など、その他の内容は『欧州フットボール批評03』でお楽しみください)