「チャンスの作り方が上手くない」。本田語った問題点
5分間が表示された後半のアディショナルタイムに、時計の針が到達した直後に鳴り響いた試合終了のホイッスル。真っ先にこみ上げてきたのは、表現のしようのないモヤモヤした思いだった。
ワールドカップ・ロシア大会出場をかけた公式戦である以上は、初勝利という結果は評価される。それでも、カンボジア代表との力関係を考えれば、90分間を通した内容には首を傾げざるをえない。
自陣のペナルティーエリア周辺に、9人のフィールドプレーヤーが引いて徹底的に守る。FIFAランキング180位のカンボジアは、ある意味で予想を上回る戦い方で臨んできた。
シュート数は、前半にセットプレーから放った一発のみ。日本の選手に犯したファウル数がわずか1だったことは、強引にボールを奪ってでも攻めるという意思すらも欠いていた証に他ならない。
必然的にボール支配率で73.9%、シュート数で34本と日本が圧倒する。それでも3ゴールに終わった物足りない結果が、何よりも攻撃の内容そのものが、モヤモヤした思いを抱かせた理由だった。
試合後の公式会見で、ハリルホジッチ監督はこんな言葉を残している。
「今日も10から15のビッグチャンスを作ったが、完璧ではない」
要は「決定力不足」を指摘していたわけだ。しかし、実際にピッチでプレーしていた選手たちが募らせた不完全燃焼感とは、残念ながらかなり乖離している。
たとえば、前半28分に強烈なミドルシュートを見舞い、均衡を破ったFW本田圭佑(ACミラン)は試合後にこう語っている。
「チャンスの作り方があまり上手くないんですよね。決定的にフリーになれるシーンが、そんなに多くなかった。前半の(香川)真司くらいかな。もっとああいう形を作れたと思うんでね」