攻め上がりと積極的なクロスを入れた酒井宏
カンボジアを相手に3得点を奪い、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が就任して初の公式戦の勝利を飾った。ホームで相手はFIFAランキング180位ということもあり、メディアもファンも3得点では物足りないという声が多く見られるのはある意味で当然だ。
そうした状況にあって、シンガポール戦からの確かな変化も見られた。それは縦に急がず左右、中央のエリアを意識しながら相手ディフェンスに揺さぶりをかける狙いが表れていたことだ。相手の守備を見ながら効果的なエリアを使ってチャンスメークするのは本来的に特別なことではないが、これまで新しい監督のもとで基本コンセプトの実現に縛られていた部分もあった。
カンボジア戦で見られた狙いの1つがサイドの活かし方だ。この試合にあたりサイドハーフとSBをうまく使い、ダイアゴナルのパスを入れて崩すという方向性は試合前からチームとして共有していた様だが、いざスタートしてみるとカンボジアの右サイドつまり、日本にとっての武藤と長友が縦に並ぶ左サイドに相手の守備が偏っていた。
「今日の前半は佑都くん(長友)の方がケアされていたので、右からの方が効果的だったと思います」と語るのは右SBの酒井宏樹だ。前方の本田圭佑と連動しながら頻繁に高い位置まで上がり、積極的にクロスを入れた。
「圭佑くん(本田)に食い付いてきたので、そこにボールを付けて自分が回り込む」と攻め方を明かした酒井宏樹。結果的に受け手が惜しいチャンスを逃す形でアシストは付かなかったが、「3本ばっちり合った」と言う様に、特にファーを狙ったクロスが武藤に合う形で惜しいチャンスを演出した。