突然の資金獲得は「混乱を招く」か「成長を促す」か
デ・ブルイネを売却したクラウス・アロフスSDは「我々皆が順応しなければならない新しい状況だ」と『キッカー』誌に話している。アロフスSDによれば、これまで2000万ユーロで獲得した選手は、それ以上の額で売却することは出来ないと信じられてきた。
しかし14年1月に1800万ユーロでチェルシーから獲得したデ・ブルイネは、その約4倍の額でシティへと移籍することとなった。これまでの通念が変化しつつある。
ヴィマーをトッテナムに700万ユーロ(約9億3000万円)で売却した、ケルンのヨルク・シュマートケCEOは「現在起きていることは、全く非現実的なものだ」とコメントしている。
デ・ブルイネの移籍金を初めとして、先に記した2億1700万ユーロという額が途端に流れ込んできた状況が、そのように感じさせたのだろう。しかし一方で、バイエルンの取締役マティアス・ザマーはこう述べている。
「我々の下に金がやってくる。それはそんなに悪いことなのか?」
例えばシュマートケCEOは、タレントを抱えるクラブがある日突然3000万、4000万ユーロもの資金を手にして、そうでないクラブとの間に格差が生まれるといったような「ブンデスリーガの経済上のバランス」が崩れることを危惧しているようだ。
岡崎をレスターに売却したマインツのクリスティアン・ハイデルSDは「イングランドに対して不安はない」と話している。ハイデルSDは、「多くの資金」によってスカウティング網を刷新したり、ユースの育成に投資したりすることが出来ると考えている。
『キッカー』誌が「パイオニア」と形容するように、そもそも“転売型”のクラブ経営を行ってきたハイデルSDとすれば、拒むような状況ではないのだろう。
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