イージーミスの多さ。プレッシャー感じた香川
そして3つ目がフィニッシュのイージーミスが多すぎること。その最たる例が前半43分の香川だ。山口→長谷部→岡崎とつながって、クサビを受けた武藤が左から打開して絶妙のラストパスをゴール前に送った時、香川は相手DFを振り切って完全フリーになっていた。
あとは無人のゴールにボールを流し込むだけというおいしい状況。それを彼は大事に行き過ぎて、GKに当ててしまうという信じがたいミスを犯した。そんな消極的なプレーは今季のボルシア・ドルトムントではありえないこと。本人も「あれは慎重に行き過ぎて固くなったと思う。あってはいけないミスだった」と悔しさを隠し切れなかったが、それだけ肩に力が入っていた証拠でもある。
所属クラブであれば試合数も多く、1度のミスでも取り返すチャンスが比較的与えられやすいが、年間10試合もなく、1つ1つの重要度が高い代表戦は難易度が上がるのもよく分かる。だからこそ、エースナンバー10をつける香川などはより重責を感じ、自然体でやれなくなってしまうのだろう。だが、格下相手にそこまでプレッシャーを感じる必要はないはず。
大事なのはメンタル面だ。焦りを感じていたら決まるものも決まらない。それはゴール前に飛び込むタイミングを計り切れなかった武藤や、後半から出てきた宇佐美貴史(G大阪)、原口元気(ヘルタ・ベルリン)らにも共通する問題ではないか。
カンボジア戦の日本代表が露呈した課題はそれ以外にもあるが、まずはこの3つをしっかりと徹底するだけでも結果は違ってくる。次のアフガニスタン戦は長距離移動を伴うアウェーの地でのゲーム。より難しさが増すだけに緻密な試合運びが求められる。
勝利を重ね、チームとして内容をブラッシュアップしていくこと。ロシアへの切符獲得、世界舞台でのリベンジのためにも、それをやっていくしかない。
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