動きの質とタイミング、ミドルの少なさ
今回もまたシュートの雨嵐を降らせながら決めきれなかった要因はいくつかある。その1つ、が受け手と出し手の動きの質とタイミングが合っていなかったこと。
数多くのクロスを蹴りこんだ長友佑都(インテル)が「引いて守る相手には、クロスを上げる精度と中で待つ人の動きの質の両方が求められる。それが足りなかった」と語気を強めたが、確かに彼や酒井宏樹(ハノーファー)が外から果敢にえぐってから中に折り返しても、武藤嘉紀(マインツ)や岡崎慎司(レスター)が入ってくるタイミングが速すぎたり、重なったりしてしまった。
ピンポイントでゴールにつながらないジレンマがチーム全体から見て取れた。「単純にクロスを上げてもこのレベルでも引っかかるってことは、ギリシャとかとやって固められたらムリ。やっぱり大事なのはコンビネーションかなと。今日はそのクオリティが足りなかった」と岡崎も反省しきりだったが、短い準備時間でも連携を再構築しないと、8日のアフガニスタン戦(テヘラン)でも同じ轍を踏みかねない。そこは選手たちが強く再認識すべき点と言える。
2つ目が依然としてミドルシュートが少ないこと。この2連戦に挑むに当たり、ハリルホジッチ監督は「遠目からのシュートの積極性」を繰り返し強調し続けていた。長谷部誠(フランクフルト)と山口蛍(C大阪)のダブルボランチもその意識をこれまで以上に持って戦ったはずだったが、彼らは打てるところですぐにパスを選択してしまう。2人が横パスを出すたびに指揮官は頭を抱え、オーバーアクションで失望感を露わにしていた。
当の山口が「ミドル下手やなと思います」と苦笑したように、このテーマは日本サッカー界の根深い問題だ。「ミドルは増やした方がいい。それが昔から言われている日本代表の課題の一つであるのは間違いない。そこにも取り組んで怖さを増していけたらと思う」と本田が改善の必要性を口にしたが、アジアを戦うためには今後、遠目から点の取れる遠藤航(湘南)や柴崎岳(鹿島)のようなタイプを積極活用していくことも一案ではないか。指揮官には選手起用の再考を促してもらいたい。