香川真司と武藤嘉紀、2人に共通するのは?【写真:Getty Images】
サッカーにおいて花形のポジションともいえる中盤2列目。3日に行われたW杯アジア2次予選カンボジア戦では、右から本田圭佑、香川真司、武藤嘉紀が務めた。
この日、先制点となるミドルシュートを決めたのは本田圭佑。節目節目で必ず活躍してきた本田は、最近5年間の日本代表でチームを引っ張る存在となっている。
しかし、香川と武藤に共通していることは「代表では期待に応えられていない」ということ。
香川は、ここ数年の代表で低調なパフォーマンス続き。この日もチーム3点目となるゴールこそ決めたものの、43分にはフリーでの決定機を外し、試合後には「必ず決めないといけないチャンス」と反省の弁が口をついた。
武藤も代表デビュー戦だった14年9月のベネズエラ戦でのゴール以降、約1年間得点を決められていない。自らも「責任感を感じている」と嘆いた。
そして、さらにこの2人に共通するのは「クラブと代表で立場が“下方修正”される」ということ。
香川は今季、クラブでよりボールを持つ役割を担い自らのリズムを取り戻した。武藤はFC東京時代に、押しも押されもせぬ中心人物としてチームをけん引した。
しかし、日本代表の中心は今も本田。ザッケローニ時代の終了後、新たに監督に就いたアギーレ監督によって右ウイングに移された直後には「ゲームメイクの面は他の選手に任せようと思っている」と語っていた。
ところが、その後チームは明らかにパフォーマンスを落とした。その中で迎えたこのカンボジア戦では、ほとんどのボールが本田を経由し、待望のゴールを決めたのも2人とは逆に「上方修正」される本田。結局、チームは中央から右にポジションを移した背番号4の背中を追いかけることで勝利を求めたといえる。
本来、中心としてプレーするべき香川と武藤は影に隠れる形で自らのプレーも失っている。
本田が「ゲームメイクは任せる」と語った背景にはザッケローニ監督時代の4年間でのサイクルの終焉を感じていたのかもしれない。
もちろん本田は優秀な選手ながら、対戦相手のスカウティングリポートに「Honda」の名は最重要人物として記載されているはず。世界を相手にした場合、徹底した分析と対策の中でチームに及ぼす影響力は小さくなっていったとしても不思議ではない。
本田を右に、香川を中央に移したアギーレ監督とハリルホジッチ監督の選択は、そういった理由もあるのかもしれない。しかし、“産みの苦しみ”を続ける中でチームは過去に回帰していったとも考えられる。
今後、日本代表が世界で戦えるチームとなるためには香川や武藤が真の中心選手としてプレーできる環境を作り上げることが重要だろう。それを成功させるためにも重要なのは親善試合の使い方。対戦相手や開催地の選択は明確なプランを持って組まなければ監督の望むチームを作り上げることは難しい。
【了】