自らアクションを起こせるボランチ」に変貌を
「今、勝ちに対してはすごく飢えてる部分がある。1つ勝てれば勢いに乗れると思うので、どういう格好でもいいから勝ちたい」。日頃感情を表に出さない男にしては珍しいほどの強い意気込みと闘争心を口にした。
カンボジア戦の山口蛍に求められるのは、何といっても遠目からのシュートだろう。国際Aマッチ90試合出場を誇る長谷部がわずか2点しか挙げておらず、直近のゴールが2011年アジアカップ(カタール)のシリア戦と4年半も前ということもあり、キャプテンにミドル弾を期待するのはハードルが高い。
その点、山口は東アジアカップの韓国戦でもチームを窮地から救い出すミドルを決めているし、8月23日の大分トリニータ戦でも関口訓充の左CKをペナルティエリア外からダイレクトでゴールにつなげている。彼の一振りが得点になる可能性は大いにあるのだ。
「ミドルシュートは監督からも求められてますし、今以上に貪欲にならないといけない。FWだけじゃなくて中盤からも点を取れれば、チームとしてもすごく幅が広がると思う。ミドルもそうだけど、2列目3列目からの飛び出しも必要かなと思います」と本人も自身に託された仕事を頭に刻み込んでいる。
2013年の東アジアカップ(韓国)をきっかけに日本代表入りした頃の山口は得意のボール奪取力に偏りがちな選手だった。が、今季のセレッソ大阪や今回の東アジアカップ見ると、中盤でリズムを作ったり落ち着かせたりという司令塔的役割をこなすプレーの幅が生まれてきている。
こうした前向きな変化を自信にして、自ら本田や香川らを動かしていけるようになれば、山口の存在価値は一段と増す。今回の9月2連戦は、彼自身が「自らアクションを起こせるボランチ」へと変貌を遂げる絶好のチャンスなのだ。