重視すべきは意図的な崩しからのゴール
新しい監督が就任し、新しいコンセプトをチームに植え付けるのはそう簡単な作業ではない。それは選手がその方向性を守りすぎて、試合の中で選手が柔軟に判断することが難しくなってしまうためだ。
日本の伝統的な修行の段階を表す“守・破・離”という言葉がある。型を守ることから始め、そこから基本型を破り、最終的には自分自身の技として型から離れて自在になることだ。
本大会までの道のりから逆算すれば、まだ“守”の段階であり、必要以上に“破”や“離”を意識するのは危険かもしれない。しかし、それなりに経験のある選手であれば、指揮官の基本スタイルをある程度は守りながら、実戦的な判断やイメージ共有をしていけるはずだ。
カンボジアもシンガポールに似た部分はあるが、攻守の切り替わりのところでミスが起きやすく、そこから決定的なチャンスが生まれるかもしれないし、セットプレーから早い時間に得点が生まれるかもしれない。
シンガポール戦、東アジアカップと続く流れから考えれば、どんな形でも得点が生まれて勝利すれば予選での勝ち点を積み上げると同時に、重苦しい空気を多少なりとも晴らせるかもしれないが、選手たちが本来持つクオリティを考えれば、守備を固める相手を攻め込む中でも、しっかり崩しのイメージを共有して、意図的な崩しからゴールを奪ってほしい。
それだけの資質がある選手たちなのだから。
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