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日本代表 9年前

【識者の視点】日本代表、PK誘発より重要なこと。カンボジア戦へ活かすべき“得点不足”の要因

text by 河治良幸 photo by Getty Images

冷静な判断、スペースの共有がゴールへのカギ

【識者の視点】日本代表、PK誘発より重要なこと。カンボジア戦へ活かすべき“得点不足”の要因
おそらく宇佐美貴史はどのタイミングで本田が中にパスを入れてくるのかをはかりながら行動していたはず【写真:Getty Images】

 おそらく宇佐美はここで、どのタイミングで本田が中にパスを入れてくるのかをはかりながら行動していたはずだ。その瞬間にボールを入れても宇佐美に渡ればチャンスになるが、ちょうど相手のアリファンによってパスコースがややブラインドになっており、もう1つ縦に抉れば宇佐美はちょうどペナルティエリアの手前でボールを受け、前を向いてフィニッシュに持ち込めそうな状況だった。

 しかし、ここで本田は中に切り込み、そこからマークの付いている岡崎へのパスを選択した。ここで岡崎がDFのハイザンをうまくブロックしながらボールをキープできたらチャンスになったかもしれないが、相手の守備を考えれば強引すぎる選択だった。こうした現象は香川がボールを持った時、また宇佐美が持った時も見られた。それにより付け入る隙を自ら逃してしまっていたのだ。

 シンガポールはこの日MOM級の活躍を見せたGKのマフブトを含め、素晴らしい守備を見せたが、十分に付け入る隙はあった。しかし、速く縦を突くという共通理解が間違った方向で攻め急ぎになり、本来の彼らなら見える様なスペースやギャップを逃してしまい、縦に速く攻める流れの中でも本来なら入れられる瞬間的なタメも失われてしまったのだ。

 ハリルホジッチ監督がペナルティとは別に課題の1つとしてあげたミドルシュートを増やすことは守備を固める相手を引き出し、裏にスペースを作るための常道であるし、ポゼッションを織り交ぜて相手の守備のリズムを揺さぶるというのも本来は非常に有効な手段だ。

 しかし、その前に縦に速く攻める中での冷静な判断、狙うスペースを選手間で共有するだけで、チャンスの可能性は大きく違ってくる。もちろん、そうした流れの中でペナルティを得ることもあるかもしれない。

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