ゲームメイクに比重を置く香川
シンガポール戦では後半15分で屈辱的な交代を突き付けられた香川は、今回も本職の位置で勝負することになる。8月15日の今季ブンデスリーガ開幕以降、公式戦5戦4ゴール(欧州リーグ含む)と絶好調。ロイスやオーバメヤンらチームメートの得点も次々とアシストするなど攻めのお膳立て役としても傑出した存在感を示している。
本人も「新しい環境で監督も代わってすごく充実してサッカーができていると思いますし、何より本当に全てに集中できている」と言うように、近年稀に見るほどの自信と手ごたえをつかんで代表合流を果たしたと言っていい。
ただ、香川自身が「クラブと代表は全く別物。切り替えなければいけない」と語気を強めたように、周りを取り巻くメンバーの個性も特徴も違えば、彼自身の役割やバランスも変わってくる。
実際、今季ドルトムントでの香川はトップ下と言ってもロイスやムヒタリヤンよりやや下がり目。ギュンドアンとインサイドハーフに近い形を採って前線に参加していくイメージの状況も少なくない。得点と組み立ての割合も目下7対3くらいで、明らかにゲームメークに比重を置いている。それがトーマス・トゥヘル監督の求める仕事なのだろう。
代表でも2列目に並ぶであろう本田や武藤よりお膳立てに回る回数は多くなるだろうし、ボランチの山口とともに中盤を落ち着かせることもあるはずだ。が、彼自身の得点と組み立ての割合は6対4、あるいは5.5対4.5くらいに引き上げる必要がある。
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