残留に至った2つの背景
インテルはこの夏、2つの必要に迫られていた。まずはトップチームの登録メンバーが25人に制限されたルールへの適応と、補強費用の回収である。
以下はお金の話になる。エリック・トヒル新会長へ経営権が移っても負債が滅却しきれず、インテルがUEFAファイナンシャル・フェアプレーの対応に追われていたのは周知のとおり。
ただマンチーニ監督は大型補強を欲し、モナコからジョフレイ・コンドグビアを獲得するために3000万ユーロ(約40億5000万円)、イバン・ペリシッチには1600万ユーロ(約21億600万円0)の移籍金を使わせた。
ミランダやステファン・ヨベティッチの獲得はさしあたりレンタルで済ませたが(買取は翌年に先送り)、レンタル料の発生もありいずれにせよ金が掛かる。
当然選手の放出を通して工面しなければならないわけだが、「この選手だったら放出してもいい」とマンチーニはリストを提示した。その中に長友らの名が入っていたのだという。つまり長友を戦力外として扱った背景には、経営上の理由も大きかったのだ。
もっとも実態は、まとまった金額で売れさえすれば誰でも良かったようである。当初プレミアリーグ所属クラブからオファーが来ていたダビデ・サントンも戦力外扱いになっていたし、代理人が残留を明言したはずのダニーロ・ダンブロージオについても、他のクラブからオファーが来れば練習試合の招集から外れたこともあった。
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