守備優先のスタイルを好む保守的なラニエリ監督
「『まあ、見てみようじゃないか』という感じ。年齢的に焦ってもしようがないし、出たらやるよと」と、海外リーグ6年目の29歳は直面した現状を冷静に受け止めていた。
岡崎投入後のレスターは、一時的とはいえ全体的に動きがグッと良くなった。4-4-2へのシステムチェンジに加え、岡崎の前線からのプレスとエネルギーが周囲の動きに好影響を与えたのは明らかだった。しかし次第にロングボールが増えて、岡崎はなかなかボールに触れられない。
「ボランチももうちょっと頑張って、ボールを引き出さないといけない」と嘆いたとおり、問題はアンディ・キングとダニー・ドリンクウォーターと前線のスペースがぽっかりと空いてしまう点だ。
消極的なプレーに終始する中盤の2人は、横や後ろへのパスが目立つ。ジェイミー・バーディーと岡崎の2トップのランは効果的で、ポジショニングも悪くない。だが肝心のボールが入ってこないため、バーディーが横に流れたり、岡崎が低い位置まで下がってボールを受けることでしか、好機を作り出せなくなってしまうのだ。
後半30分以降にようやくレスターペースで試合ができたのも、2人のこういった動きがあったからだ。結果的に、同点ゴールのPKへとつながったのもこの2人のプレーからだった。
さらにこの試合では、今季ここまで好調のリヤド・マレズが岡崎と交代して途中で退いている。しかしこのアルジェリア代表は、中盤からのボールが出ない場面でも単独でボールをファイナルサードに持ち込める。レスターの攻撃の起点となれる数少ない一人である。
だが保守的なイタリア人監督のクラウディオ・ラニエリは、特に敵地での試合では守備優先のスタイルを好む。となれば、今後のシーズンでも必然的にこのような状況が多くなるはずだ。
【次ページ】「結果的に自分の立ち位置が見えた」