「対バルサ」に1つの答えを示したビルバオ
短くも長い1シーズンを戦い終え、すべてを手に入れたチームにとって、新たなシーズンのスタートは特に難しいものなのだろう。ライバルチームは徹底的な分析と対策を練り、自らのモチベーションの維持も苦労する。
それらの問題に対する最も有効な打開策は新戦力の獲得である。新たな選手はチームに新たな特徴をもたらし、チーム内に競争を生む。特に流れの速い昨今のサッカー界において、“血の入れ替え”はたとえすべてを手に入れたチームであっても不可欠なものだ。
当然、昨季の3冠王バルセロナもDFアレイクス・ビダルとMFアルダ・トゥランという有力な選手を獲得した。ところが、FIFAからの補強禁止令によって今季前半戦は起用することができず、ひとまず昨季のチームのままでの戦いを余儀なくされた。
そんな中で迎えたビルバオとの開幕戦。バルサは1-0で勝利を手にしたものの、ビルバオが王者対策として実践したプレスの前にDFラインのビルドアップが封じられ、これまでの支配的な強さは影を潜めた。
このビルバオの戦い方は「対バルサ」というテーマに1つの答えを示したように見えた。逆にルイス・エンリケ監督はDFラインのパスワークを封じられた際の打開策を見出すことを強いられたともいえる。
そして、開幕2戦目となるホームでのマラガ戦。その打開策として、ルイス・エンリケ監督はセルヒオ・ブスケツをDFラインの中央に入れるという選択をとった。
まず、『Wyscout』が出すビルバオとの開幕戦の平均ポジション(図1)を見ると、CBを組むヴェルメーレンとマスチェラーノと、アンカーを務めるブスケツは三角形を作るようにポジションを取っている。