先発変更で見えた指揮官の優先順位
背番号「10」はベンチスタート。エンポリ戦のスターティングメンバーは前日までの予想を裏切られるものだった。第1節フィオレンティーナ戦で失意の敗北を喫したシニシャ・ミハイロビッチ監督は、ホーム初戦で3名のメンバーを入れ替えてきた。
前日記者会見で指揮官は「サムライかニンジャがやってこない限りは本田はプレーする」と語る。しかしながら、当日ピッチに本田の姿はなかった。トップ下にはMFスソが選ばれたからだ。一方で、MFジャコモ・ボナベントゥーラのポジションにはMFアントニオ・ノチェリーノが入る。ミハイロビッチ監督が初戦とメンバーを変更したのは、上記の2選手に加えてDFロドリゴ・エリーが出場停止となったDFクリスティアン・サパタの3人だった。
エンポリ戦の采配から見えてきたのは指揮官の「2つの優先順位」だ。
フィオレンティーナ戦後に公に不満を明かしたインサイドハーフについては、ボナベントゥーラの起用を諦めてノチェリーノを起用した。安定した守備をみせるノチェリーノが入ったこと、対戦相手が格下のエンポリであったことで指揮官はトップ下にスソ起用を決断する。これにより、ミハイロビッチ監督がチーム内のメンバー同士、また対戦相手との「関連性」を優先してメンバーを決めることが明らかとなった。
総合的なトップ下としての能力であれば、スソよりも本田やボナベントゥーラに分があることは明白だ。それでも指揮官は「攻撃的」というスソのキャラクターを優先している。ミハイロビッチ監督はいわゆる「自分たちのサッカー」を志向するのではなく、対戦相手に応じてスタイルを変更するタイプの指揮官であることが表れた采配だった。