オペラの街ミラノ。厳しい気質の観客
「ミラノのサッカーファンはこう言うんだよ。お前がリガブーエ(イタリアで最高峰の人気ロックスター)でなければ、サン・シーロのステージにしゃしゃり出て来るなと」。以前、あるミラノのベテラン記者がこういうことを言っていた。
約8万人収容のサン・シーロはイタリアにおけるスタジアムコンサートの“聖地”なのでこういう言い回しになるのだが、名声とパフォーマンスが伴わない選手でないとファンは認めないということだ。オペラの殿堂として知られるスカラ座も観客が非常に厳しいことで有名だが、ミラノという街にはそういう気質があるようだ。
「ミランはスター選手ばかりでチームになっていない。いっぽう我々にスターはいないが、団結力で勝った」。試合後、フィレンツェの地元ファンがそう言っていたのを聞いたが、ミラノではそうはならない。タレントとなるべき選手が、チームのために頑張りましたというだけでは評価されない。
26日、ミランは“悪童”マリオ・バロテッリの復帰を発表した。正直ファンや評論家の間で意見は分かれているとはいえ、クラブの決断を受け入れているファンも一定層ある。単独で局面を変える「個」の力が期待されているからだ。翻れば、本田がトップ下として生き残るためにはやはり局面の打開力をアピールしていかなければならない。
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