J1で眩い輝きを放ち始める
「残留を目標にしているわけではない。自分たちはもっと上を見ている」
フロンターレのジュニアユースに所属した3年間に、指導者の道を歩み始めたばかりのチョウ監督の指導を受けている永木は視線を高く掲げながらこう続けた。
「失点はチョウさんだけの責任じゃないと思うし、普通に蹴っていれば何でもなかったという意味では、三竿も反省しなきゃいけない」
アリソンが決勝ゴールを決めた場面。相手ゴール前には高山と、最終ラインから長い距離を駆け上がってきた三竿も詰めてきていた。
ミスをして下を向くのではなく、歯を食いしばって立ち上がり、何倍にもして取り返す。強い絆のもと、チョウ監督と選手たちが歩んできた軌跡はまさに「七転び八起き」という言葉に凝縮される。
その過程で手にした、いままさに成長しているという実感。もちろん、満足したらそこで終わり。30日にはファーストステージで苦杯をなめた、王者ガンバ大阪の敵地に乗り込む。チョウ監督が力を込める。
「ガンバさんにリベンジする前に、自分自身にリベンジしないと。選手たちに負けないように成長していかなきゃ、という思いが強いですよね」
リスクと規律をピッチの上で共存させるチャレンジは、まだまだ道半ば。理想を追い求め、ぶれないベクトルを描き続けるベルマーレが、J1戦線で眩い輝きを放ちはじめた。
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