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支配力を失ったバルサ、最大の懸念は守備力にあらず。メッシの力をも削いだ“DFラインの拙攻”

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

バルサらしくない勝利に募る不安

支配力を失ったバルサ、最大の懸念は守備力にあらず。メッシの力をも削いだ“DFラインの拙攻”
メッシはアクション・エリアのファイナルサードで43.59%まで上昇【写真:Getty Images】

 その結果、前半の問題点が改善されたわけではないものの、前線にボールが渡るようになり、メッシはアクション・エリアのファイナルサードで43.59%まで上昇。ボールタッチ数でも前半が29回だったのに対して後半は44回を記録した。

 さらに、決勝ゴールを決めたスアレスは前半のボールタッチ数がわずか12回ながら、後半は31回と倍以上の数字を記録した。

 もちろん、ボールを素早く前線に入れるということはポゼッションをある程度犠牲にするということ。そのため、支配率は前半の73.1%から後半は55.2%と減少。さらにビルバオにも攻め込まれるシーンが増えたものの、結果的には1-0で勝利。

 昨シーズンには、これまでの遅攻に速攻を“加えた”と評されたが、この試合では遅攻が機能せず、速攻に“切り替えた”ことで勝利を手にした。いわば、バルセロナらしくないスタイルで勝負に徹したといえる。

 しかし、ダニエウ・アウベスに加えて68分にはセルヒオ・ブスケツも負傷退場。ピケが4試合出場停止処分となり、残り3試合不在。ネイマールもおたふく風邪という状況での開幕にはまだまだ不安が募る。

 さらに、DFラインが抑え込まれると、イニエスタとラキティッチの中盤も支配力を失ってしまうことが浮き彫りとなった。

 DFラインの脆さという点に関しては今になって浮上した問題ではない。むしろ、昨季はDFラインの攻撃力によって守備力をカバーしていた。そのDFラインの攻撃力に陰りが出始めていることこそ、早急に解決しなくてはいけない問題だろう。

【了】

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