開幕戦を「トップ下」で先発した本田圭佑
「本田圭佑に失望した。クラブはトップ下補強に動く」
プレシーズン、トロフェオ・TIMの後、イタリアメディアは本田をこのように酷評した。しかしながら、蓋を開けてみればミランの「10番」はフィオレンティーナ戦のピッチで試合開始のホイッスルを聞くことになる。シニシャ・ミハイロビッチ監督の信頼を勝ち取り「トップ下」として先発出場を果たしたのだ。
イタリア紙が容赦無い批判を繰り返す間も、ミハイロビッチ監督の本田への信頼は一度も揺らぐことはなかった。メディアは本田が攻撃面で目立った活躍をしていないことをこき下ろしていたが、指揮官は同選手の献身的な守備、チーム内における調整力を評価していた。そして、初の公式戦であるコッパ・イタリアのペルージャ戦で「1ゴール1アシスト」という結果をみせると本田の評価は一変する。採点は軒並み高得点を叩き出し、各紙がMVPに選出した。
トップ下という役割もあり、周囲からは本田は今季こそ攻撃の柱として活躍することが期待されていた。しかしながら、実際にはコッパ・イタリアの活躍は彼の起用法に影響を与えることはなかった。フィオレンティーナ戦の本田のプレーで光ったのは日本人らしい「気の利きぶり」であり、果たした役割はチーム内の「調整役」だった。
ミハイロビッチ監督は運動量豊富な4-3-1-2の布陣を好む。本田はトップ下で起用されているが、一方で3センターハーフのインサイドハーフには積極的に前線のスペースに走りこむMFアンドレア・ベルトラッチとMFジャコモ・ボナベントゥーラが起用された。両選手はダイナミズムと献身性を持ち合わせるプレースタイルであるものの、チームメイトの動きを観察し空いているスペースを埋めるような“気配り”に長けている選手ではない。
結果、本田は攻撃時においてはアンカーであるMFナイジェル・デヨングのサポートのためポジションを降ろして組み立てに参加し、守備時は両インサイドハーフが上がったスペースのカバーリングに終始することになる。