日本、豪州、韓国でACLに出場する初めての日本人選手へ
広島、Wシドニーにはなかった“ビッグクラブでのプレー”にも「どこでもやっていける自信はオーストラリアでついた」というが、広島やWシドニーと共に歩んできたACLの戦いぶりは、ソウルでも同様に見せなければならないアジアでの実績だろう。
J1を制した2012年冬、サンフレッチェ広島が世界の扉の先を覗いたFIFAクラブワールドカップの経験は、当時のチーム関係者が口をそろえて「もう一度立ちたい」という夢のひと時であり、雲の上に自身が君臨した戦いだった。
福島県いわき市出身、東北人らしくピッチを離れれば常に謙虚で静かなたたずまいの高萩洋次郎が、目をぎらつかせて「ACL優勝の先にクラブワールドカップがある。もう一度、行きたい」と語るのは、道理と感じつつも、その口調に圧倒されてきた。
憧憬を、現実のものとできるクラブでの戦いは、充実の20代ラストイヤーとなろう(もちろん、その目の前にJリーグクラブ、筆者の最高のシナリオはサンフレッチェ広島が立ちはだかってほしいが)。
今シーズンのACLはラウンド16でガンバ大阪に圧倒されたFCソウルにとって、まずは国内戴冠とともに、来季のACL権確保が目標となる。リーグ後半戦早々にデビューゴールを見せた高萩に、厳しい戦いは続くが柔らかい口調はむしろ逆に思えるほど強い決意に聞こえた。
「来年ACLに出られれば、サンフレチェ広島とWシドニー・ワンダラーズ、日本とオーストラリアと、韓国の3ヶ国でACLに出場した初めての日本人ですよね。しかも東アジアの強豪3ヶ国。やりがいがあります」
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