背番号は2。監督から期待された役割とは
一方で、MFでは珍しい背番号2にも「一桁はこれしかなかったので」と、ひょうひょうと取り組む姿からは、おおらかさが増したように思えた。
新天地へはアジア枠の“助っ人”として入団。FCソウルでは、トレーニングやコンディション作りに万全のバックアップを図るクラブ環境の良さに驚いていた。ソウル近郊市街地の練習場ピッチも「かつてのJヴィレッジのように良い」と高萩の故郷福島に存在したJ有数のトレーニング施設と比較しても、舌を巻くほどだ。
監督はチェ・ヨンス(崔龍洙)氏。言わずと知れた元“韓国代表のエース”で、Jリーグでも市原や京都、磐田で計75得点を重ねたアジアが生んだレジェンドである。
「監督は厳しい」と“らしさ”を感じながら、「攻撃を落ち着かせる決定機のオーガナイズを求められている」と責任を充分に受け止めている。「韓国も攻めは縦に早い」と語ったイメージは、自身が時間とスペースを“支配した”サンフレッチェ広島での攻撃のタクトと重なる部分はあるのだろう。
「ディフェンダーは激しい。スライディングも多い」
リーグスタイルをかいくぐり、3ボランチの左右を任されるチームの中で「ミスせず形にする」ことをポイントに挙げた。
FCソウル内でも期待は大きく、高萩をパク・チュヨン(朴主永)、ブラジル国籍のアドリアーノ、コロンビア国籍のモリーナと並び“ファンタスティックな4人”と売り出している。
結果への期待、環境面のバックアップからも一国の首都にあるビッグクラブとしての責任を感じているはずだが、広島から出発してオーストラリアで「個人優先の場合とコミュニティを大事にするバランスの良い」生活と言語の重要さを経験し、よりタフさを身に着けたようだ。
環境への順応の早さは、アジアであることを差し引いても尊敬を増す。「スウォン(水原)との対戦は、AFCも謳うアジアのダービーだそうですね」と新たな戦いの舞台が用意する“アジアの熱狂”に、“広島が生んだファンタジスタ”の衝動は昂るばかりだ。