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カルチョを支配した男・モッジの“最恐”GM論

8月17日(月)発売の『欧州フットボール批評special issue03』では、かつて“メルカートの王”としてイタリアサッカー界を支配した元ユベントスGMのルチャーノ・モッジに直撃インタビューしている。2006年に勃発したカルチョーポリから9年、今年3月に無罪判決を勝ち取った男は、カルチョの現状に何を想うのか。一部抜粋して掲載する。(翻訳:宮崎隆司)

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Getty Images

私を裁こうとした愚か者たちに告ぐ

イタリアサッカー界の愚か者どもに告ぐ。カルチョを支配した男・モッジの“最恐”GM論。
「ミラノ勢2クラブの低迷は間違いなくGMたちの無能が要因」とモッジは語る【写真:Getty Images】

――今から9年前。2006年の夏、イタリアは奇跡のW杯制覇を遂げ、その決勝(対フランス)には、両軍合わせて実に9人もの“モッジの選手(当時ユベントス所属)”がいた。しかしその直前に例のあの忌まわしきカルチョーポリが勃発。だが2015年の今日、もはやすべてが終わったと、つまり晴れてルチャーノ・モッジの潔白は証明されたと言って差し支えない。その今、「失ったものは何か? 逆に得たものは何か?」と問われれば当のモッジは何と答えるのだろうか。

ルチャーノ・モッジ(以下、M) 何を失ったか?……(苦笑)。今さらそれを俺に聞いてどうする? むしろ、その手の問いはルチャーノ・モッジひとりを贖罪のヤギに仕立て上げた者たちに聞いてみるがいい。もっとも、奴らが今にして何を思っているかなど知ったことではないのだが。いずれにせよ、その連中が得たものこそモッジが失くした何かと同じであるはずだからな。

 この無意味な法廷闘争に忙殺された俺が、それこそ膨大な時間を奪われてしまったのは紛れもない事実だが、そんなことはもうどうだっていい。重要なのは、ルチャーノ・モッジが決して他者を貶めたことなどないという事実、あるいは誰かを欺くことで自らの地位を得たのではないという明白な事実、それさえ正しく世に伝わればいい。

 もちろん葛藤の連続だった。なぜならこの俺はGM時代に何一つとしてサッカーを壊すような行為をやっていないからだ。ローマ時代も、ナポリ時代も、ユーベのGMだった当時も俺が考えていたのはチームを強くすることのみ。だが、強くなり過ぎたユーベとそのGMは、他の多くの者たちにとっては邪魔な存在でしかなかった。あの忌まわしきカルチョーポリ、その真の意味とは単にそれだけのことなのだよ。

――つまり?

M 俺はさっき無意味な法廷闘争と言ったが、要するにこれだけの長い時間と膨大な数の紙面や電波を使って“喧伝された”カルチョーポリという法廷闘争には、その実、真に争うべき争点が含まれてはいなかったということだ。単なる茶番でしかない。

 検察も司法も莫大な金を費やしてはそれを捜査や裁判だと宣っていたが、結果はどうだ? あれだけの金と時間を使った結果として連中は連中にとって有益な何を掴んだというのか? 答えは、「niente(nothing)」。そして、導き出された唯一の結果はといえば、他でもない、このルチャーノ・モッジの潔白を証明するだけに終わった、と。実に愚かな連中だ(笑)。

 そして、この際ついでだから言っておくが、信じ難いことにカルチョーポリに際して(法廷の場で)裏付けとされたのは愚かな新聞どもが流したガセネタであって、現実には一切の確たる証拠は遂に示されていない。

 ところが、この9年の間だけを振り返っても一体いくつの違法賭博や八百長が、もちろんここイタリアだけじゃない、世界中のあらゆる場所で行われていたというのか。当然、ここで言う違法賭博や八百長には確たる証拠が示されている。もちろん無数の実名も広く知られており、誰が何をやっていたかを俺も知っている(笑)。

 にもかかわらず、連中はあの忌まわしきスキャンダルを「モッジョーポリ」と名付けては弄び、真に争うべき争点を覆い隠していたわけだ。ならば当然のことながら俺は闘わなければならなかった。そして勝った。

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