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アジア 9年前

【現地レポート】日本サッカーに倣え。ベトナムの東南アジア王者奪還に向けた挑戦

text by 宇佐美淳 photo by Jun Usami

“純血主義”を貫くベトナム代表

 一方、女子の乗松隆史監督は、今年5月に自国開催となった東南アジア女子サッカー選手権で、最低限のノルマであるベスト4に入った。9月のリオ五輪2次予選では、その真価が問われることになるが、直前キャンプは日本で行うことが既に決定している。

 こうした代表監督の活躍により、ベトナムにおける日本人指導者の手腕は高く評価されるようになったが、国内リーグを見てみると、2015年8月の現時点で日本人監督は誕生していない。それよりも驚くべきことは、日本人選手が一人もいないという現状だ。タイやカンボジア、ラオスなど近隣国のリーグでは日本人選手が多数在籍しているにもかかわらず、である。

 これには、僅か2枠というVリーグの外国人枠の少なさが大きく関係している。また、アジア枠もなく、2部にいたっては外国人選手の登録自体が禁止されているため、ベトナムでプレーするということが非常に狭き門であることは疑いようがない。各クラブの補強は、必然的にセンターフォワードとセンターバックに強力なアフリカ人や南米の選手を据えるということで落ち着く。

 今季開幕前に決まった外国人枠の削減は、若手育成と赤字経営に喘ぐクラブの支出削減を目的としたリーグの方針であり、2018シーズンまでは現状の2枠が維持される。急増した帰化選手についても登録枠に制限が設けられるなど、外国人排除の姿勢は徹底している。因みに、ベトナム国内には数十人もの帰化選手がいると言われているが、協会は帰化選手の代表招集についても固辞しており、ベトナム代表はいわゆる“純血主義”を貫いている。

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