日本サッカーに憧れを抱くベトナム
近年、徐々にではあるが、日本国内における東南アジアサッカーへの関心度が高まりつつある。特にタイ・プレミアリーグには多くの元Jリーガーが在籍し、今では最も多く日本人選手の“海外組”を抱える国となった。タイで指揮を執る日本人監督も非常に多い。日本サッカーに学んだタイサッカーは急成長を遂げており、東南アジアの各大会を次々と制覇している。そのタイに追い付き追い越そうと躍起になっているのが、お隣のベトナムだ。
ベトナムは、2007年に東南アジア4ヵ国(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム)で共同開催したAFCアジアカップで、開催国の中から唯一決勝トーナメントに進出。翌2008年には、東南アジアサッカー選手権(AFFスズキカップ)で優勝するなど、一時は東南アジアナンバーワンの実力を誇ったが、その後は低迷し、国際タイトルからも遠ざかっている。
親日家が多いベトナムでは、漠然とした日本への憧れを抱いている人が多いが、これはサッカーについても言えて、日本のような緻密でテクニカルなサッカーを目指したいという気持ちがある。この数年の日本サッカー界との関係強化は、現状を打破したいというベトナムサッカー界の意思の表れでもある。
2012年には、ベトナムプロサッカーリーグ(Vリーグ)とJリーグがパートナー協定を締結。両国のサッカー協会も密接な協力関係を築いており、現在はベトナム代表は男子・女子ともに日本人が監督を務めている。
大宮や札幌で指揮を執った男子の三浦俊也監督は、Jリーグ時代と変わらない規律とハードワーク重視のサッカーをチームに根付かせた。サポーターが求めるテクニカルなサッカーとは異なるものだったが、昨年の仁川アジア大会(ASIAD2015)とAFFスズキカップ2015でそれぞれベスト16、ベスト4の成績を残し、当初疑心暗鬼だったメディアを結果で黙らせ、サポーターの信頼をも勝ち取った。