「サポーターを喜ばせるために最大限ハードに戦う」
また、フィッカデンティ監督の功績は観客動員数でも測ることができるだろう。これまでのクラブ史上最高平均観客動員数は2005年の2万7101人だったが、今年は2万8000人を超えている。
Jリーグ観戦者の平均年齢は約40歳だが、味の素スタジアムには非常に多くの若者が訪れていることに驚かされる。確かにFC東京は若者に支持されるクールなチームへと変わっていっているのだ。
昨季終了後、彼らはチームの大幅な強化を期待されたものの、冬の移籍市場で獲得したのは求められていたトップ選手ではなく、J2からやってきた選手ばかりだった。大久保嘉人、レオ・シルバ、塩谷司、そしてシャビといったビッグネームの獲得が噂されていたが、今のFC東京を見ると、他の選手を数人獲得しただけだ。
そんな中で武藤がチームを去った後、ビッグネームがチームに加わることはなかった。しかし、フィッカデンティ監督はネイサン・バーンズをJリーグのスターにするべく指導している。
G大阪戦では羽生直剛のクロスに合わせて決勝点を決めるためにピッチの端から端まで走り抜けたことで、このオーストラリア代表FWはチームの精神を結実させた。フィッカデンティ監督は語る。
「このチームは勝つために、そしてサポーターを喜ばせるために最大限ハードに戦うことを意識している。それが我々の愛される理由だ」
かなり前から日本に関心を持ち、日本文化を愛してきたフィッカデンティ監督は、日本人が見せる献身と好意とともに知識と情熱の間にあるバランスを見つけたようだ。
しかしながら、この冒険が終わった時、今季がFC東京史上最も素晴らしいシーズンだったことを疑う人はわずかだろう。ファンのサポートとともに、クラブがもっと良くなることを期待している。このまま成長を続ければ、我々はついに東京で真のトップクラブを見られるはずだ。
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