“怪物”アグエロが相手守備陣を破壊。“飛び道具”を持つコラロフも躍動
そしてアグエロは相変わらずの怪物ぶりを見せつけた。中央で屈強な相手DFを前にしてもひるむことなく突っ込んでいき、スペースがなくとも驚異的な落ち着きとテクニックで風穴をあける。30分の先制点も相手守備陣をペナルティエリア内で2人転ばせ、コンマ数秒で完全にタイミングをずらす細やかな技術を披露した。
もう1つシティの武器になっているのはアレクサンドル・コラロフの左足だ。これまで守備面の不安を再三指摘され、同い年のガエル・クリシと併用されてきたが、30歳を前にまだ進化を続けている。
元々強烈な左足のキックと抜群の精度を誇るクロスを武器にしていたが、そのバリエーションと正確性に磨きがかかっただけでなく、左サイドでコンビを組むスターリングのキープ力を利用して効果的なタイミングでオーバーラップを仕掛け、高速クロスを放つタイミングも絶妙だった。得点にはならなかったが44分のFKは精度、タイミングともに完璧な1本で、セットプレーでも相手の脅威になることを示した。
放出も噂されるクリシと反対に、コラロフは左SBのポジションを完全に自分のものにしたと言っていいだろう。守備面でもプレスバックのスピードや1対1の粘り強さなど改善が見られ、若いスターリングを攻撃に専念させるだけの十分なサポートを期待できる。
混迷が続いた昨季中盤から終盤にかけてと大きく変わり、攻撃にバリエーションが増え、守備の選手層にも不安がなくなったシティは王座奪還に燃えている。マヌエル・ペジェグリーニ監督との契約も延長され、期待の新戦力も徐々にフィットし、エースはすでに爆発の予感を漂わす。2試合連続の3-0も偶然ではないはずだ。
今季はチャンピオンズリーグでの飛躍も求められるが、準備は着々と整いつつある。昨季の彼らにただ一つ足りなかったもの、タイトルに向かって、強さを増した新たなシティが走り出そうとしている。
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