シティは攻守に安定感。新戦力の融合も進む
強力なチェルシー攻撃陣を前に、守備で鍵となったのはサニャのプレーだ。本来トップ下に入るオスカルの不在でブルーズの攻撃はどうしても左サイド中心になってしまう。逆サイドのラミレスは単独でDFを剥がせるだけのテクニックを備えておらず、周りに置き去りにされていた。
絶対的存在のエデン・アザールが左サイドをスタートポジションにし、それをサポートすべくウィリアンも左に流れてくる。さらに中盤の底でボールを裁くネマニャ・マティッチも左利きのため、どうしてもパスが左方向へ偏ってしまう。
そこでサニャはオーバーラップの回数を減らして守備に専念し、アザールの動きを封じようと試みた。独りよがりなプレーに終始し、DFに当たられるとすぐに倒れるなど明らかにブレーキになっていたジエゴ・コスタにも助けられたが、チェルシーの攻撃を停滞させるにはアザールを封じるだけで十分だった。
攻撃面でポイントになったのは、アグエロだけではない。2列目のヘスス・ナバス、スターリング、そしてダビド・シルバの連携はすでに完成されていた。
まずシルバはどんな体勢でボールを受けても、軽業師のような身のこなしで前を向く。そこに相手のDF数人が引きつけられ、シルバの方へ身体が寄っていく。すると両サイドのスターリングやナバスの前にスペースが生まれ、フリーでボールを受けて仕掛けられる。
実際ナバスは鋭い縦への仕掛けでチェルシーの左サイドをきりきり舞いにした。左CBのジョン・テリーを前半のみでベンチに追いやったことからもその効果がうかがい知れる。スターリングは対面するブラニスラフ・イバノビッチをスピードで圧倒してファウルを誘ったり、ドリブルを仕掛けることで味方の攻め上がりを助けたり、早くもチームに馴染んで才能を発揮している。