監督も本田を称賛。ファンには苦言
その監督は「2点を取ったらボールキープに走った。私は常に全力を欲しているので3点目を奪わなければならなかった」とチーム全体に苦言も呈していたが、これは相手が退場した終盤以降のプレーを指すものだ。バッカと本田とのコンビネーションから奪った2点目に象徴されるポゼッションは、指揮官の志向どおりのものだった。
ただ、所詮は格下相手との試合である。ミックスゾーンではミハイロビッチ監督に対して地元記者から「満足はされていますか? それともやはりセリエAは別物であると考えますか?」という率直な質問も飛んだのだが、「格上だろうが格下だろうが、勝つということはいつでも難しいものなのだ」と厳しく語っていた。
いずれにせよリーグ戦を前にチームが機能し、その中で本田が結果を出したことは、23日のフィオレンティーナ戦でのスタメン起用向けての前進を意味するだろう。
なおこの試合後、ミハイロビッチ監督は「今日の試合で自分が気に入らなかったことがもう一つある」と語った。「ミランの選手にミランのファンがブーイングしたことだ。試合が終わった後ならいい。ただスタジアムは応援に来るものだ。私には受け入れがたい。選手たちはみなチームのために全力を尽くしているのだから」
昨シーズンは本田あたりも相当にやられたのだが、不満を募らせるファンは一つのミスも許さず、ひどい時には少しタメを作っただけでピーッと指笛を吹かれた。
これが選手から落ち着きを奪う要因となっていたことも確かだが、金を払って観に来るファンの感情は尊重されるべきだと気を遣い、これまでの監督はなかなか強いことが言えなかった。
ここで堂々とチームを守るための発言ができるということは、「もともとミランに繋がりはないから、ファンには結果で判断してもらえればいい」と割り切っていたミハイロビッチだったからなのかもしれない。
強気の指揮官のもと、ミランはサン・シーロで久々にチームプレーが出来ていた。本田共々この勢いをリーグ戦に持ち込み、今度こそ強豪に返り咲くことができるか。
【了】