『欧州フットボール批評special issue03』(8月17日発売号)では、「欧州主要20クラブ 新シーズンの陣容診断」と題し、各クラブの番記者、エキスパートが各クラブについて徹底批評しています。
各クラブの移籍情報、新シーズンの目標、フォーメーション予想のほか、今回の特集では、番記者評とライバルクラブの番記者評を盛り込みました。たとえばレアル・マドリーのページには、マドリーの番記者とバルサの番記者によるマドリー評を掲載。彼らの見解の違いがはっきりと見られます。
紙媒体、ネット媒体を通して様々なニュースが人々に届けられていますが、そうしたニュースも立場によって描かれ方が異なるということを、改めて感じさせられます。情報過多の時代のなかで、情報を提供している各メディアおよび各記者の立場を踏まえてニュースを消化していくこと。それもまた欧州フットボールを楽しむ一興ではないでしょうか。
新シーズンにおける各クラブのスカッドについて考察をする上で外せない情報の一つに“外国人枠に関する規則”があります。このルールがクラブのチーム編成において与える影響は少なくありません。イングランドではホームグロウン、スペインやイタリアなどではEU圏外枠、ドイツではドイツ人枠といった選手登録の規制があり、クラブはこれらのルールに則って選手を集める必要があります。
しかし、こうした規制があったとしても、“抜け道”のようなものがないわけではありません。そこで今号では、欧州4大リーグ(スペイン、イングランド、ドイツ、イタリア)それぞれの「外国人枠事情」を紐解いています。より深く欧州フットボール界における移籍マーケットのニュースを楽しむために、「欧州主要20クラブ 新シーズンの陣容診断」と併せてお楽しみいただければ幸いです。
特集企画のほかには、3本のロングインタビューを掲載しています。
まずはスポルト紙(スペイン)のトニ・フリエロス氏(翻訳:江間慎一郎氏)による、チャビ・エルナンデスのロングインタビュー。バルセロナ、スペイン代表でのキャリアを振り返りつつ、いかにしてチャビ・スタイルが作り上げられたかについて、2014-15シーズン限りでバルサを離れたチャビ本人が語っています。
さらに今号では、八百長疑惑がもたれていたものの2015年3月に無罪判決を勝ち取ったルチャーノ・モッジ元ユベントスGMに直撃インタビューを敢行(インタビュアー:クリスティアーノ・ルイウ氏/テレ・ロンバルディア、翻訳:宮崎隆司氏)。イタリアサッカー界を震撼させたカルチョーポリについては「茶番でしかない」と述べ、ミラノ勢のGMについて「無能」とバッサリ。カルチョ界の“最恐”GMっぷりは健在です。
そして個人的に最もオススメしたいのが、1978年のアルゼンチンW杯で母国アルゼンチンを監督として優勝に導いたセサル・ルイス・メノッティのインタビューです(インタビュアー:トニ・フリエロス氏/スポルト紙[スペイン]、翻訳:江間慎一郎氏)。
共産主義者を自認するメノッティですが、1978年当時のアルゼンチンは軍事政権下にありました。かくも奇妙な経験を持つ元バルセロナ監督が発した有名な言葉に「左翼のフットボールと右翼のフットボールがある」というものがあります。今回のインタビューでは、その言葉の真意がメノッティ本人の口から明かされます。
映画「メッシ」でも、その詞的な言語感覚を惜しげもなく披露していましたが、今回のインタビューでもその表現力は健在。発言の内容はもちろん、「4-2-3-1、4-4-2なんてものは、ただの電話番号に過ぎない」など、その寸描の妙も楽しませてくれる、濃厚なインタビューになっています。是非ともご一読ください。