韓国がアジアに示した頂点への兆候
東アジアカップを未勝利で終えた日本代表の選手たちは、チーム内の競争を無視するかのような、信じられないほど迫力に欠けるパフォーマンスを見せ、日本国民とヴァイッド・ハリルホジッチ監督に大きな失望を与えた。
サムライブルーの指揮官は最終戦となった中国戦のあと、今大会の目的のひとつであった新戦力の発掘は達成できたと自信ありげな表情で成果を誇示した(遠藤航は間違いなくフル代表で戦える能力をもっていることを示し、また武藤雄樹も代表に相応しいプレーを披露した)。しかし、ボスニア人指揮官がチーム全体の出来にひどく落胆していたことは明らかだった。
一方、ウリ・シュティーリケ監督は、今大会が韓国代表にとっていかに有意義だったことが分かるほど喜びを抑えられずにいた。
「チーム全体の出来や選手たちが遂行したフットボールにとても満足している。我々はゲームを支配したいと考えているが、ピッチ上の高い位置でプレーしたことにより3試合ともボール支配率で相手を上回ったと思う」と、0-0の引き分けに終わった北朝鮮との試合後にそう語った。
この時のシュティーリケ監督は勝ち点1でも優勝を成し遂げるのに十分だったことを知っていたわけではないが(最終的に日本と中国は1-1のドロー)、もし他国がタイトルを獲得していたとしても“太極戦士(テェグック・チョンサ=韓国代表の愛称)”は武漢で自分たちがベストチームだったことを証明した。
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